《 7 月のイベント感想文:ローゼンガルト・コレクション・ガイドツアー》

《 7 月のイベント感想文:ローゼンガルト・コレクション・ガイドツアー》

数日続いていた快晴から打って変わり、前夜からの小雨のため肌寒くなった7月21日の朝、チューリッヒHBから、ローゼンガルト・コレクションガイドツアーに参加するためにルツェルンに向かいました。
もともとはスイス国立銀行だったという堅牢な建物を購入し、画商だった父ジークフリートさんの後を継いだアンジェラさんが創設したローゼンガルト・コレクション。ピカソやパウル・クレーの作品が多く展示されています。ピカソはさておき、クレーに関しては名前を聞いたことがあるくらいの無知な状態で参加したのですが、ガイドの柿沼さんによる、様々な逸話を交えた説明のおかげで、大変興味深く過ごすことができました。
音楽一家に生まれ、自らもバイオリンを弾き、また奥さんはピアニストだったというクレー、それなのに画家を生業とし、「音楽は愛人、絵画が妻」と話していたそうです。絵画は実験的なのに対して、音楽は正統なクラシックを好んでいたとか、芸術で稼ぐためには他の画家とは異なる独自性を出さなければならなったのでしょうか。会社勤めが本妻だとなかなか冒険はできないものなのですが・・・。
展示されている作品の多くは比較的小さいサイズで、またキャンバスでなく新聞紙や布切れに描かれたりしたものも。形式にとらわれない、型にはまらない芸術家だったのでしょう。中には描いた後からその作品を切断してそれぞれを別の作品としたものもあったりして、こうすればもっと良くなるのでは、という飽くなき探求心も感じられました。雑誌連載後、単行本化する前に何度も描き直したの
で有名な手塚治虫にも通ずるところがあるな、と思ってみたり。終わってみればあっという間の一時間半、あまり美術には関心が無かった私も、ベルンにあるというパウルクレー・センターにも行ってみたくなりました。
これまでJCZで紹介されたコンサートには何度か足を運んだのですが、美術系のイベントには初めての参加でしたので、今までお会いすることのなかった方たちとも知り合う良い機会でした。ガイドツアー後のランチにも参加してとても楽しい一日となりました。これからもジャンルを問わずJCZのイベントに参加したいと思います。(N.Y)