会長あいさつ

ジャパンクラブ・チューリッヒ
会長 青砥 玄

当会は、スイスにおける金融と経済の中心地であり、スイス最大の都市チューリッヒを中心とする地域に在住する日本人が、親睦を深め、日本とスイスの相互理解と友好促進のため、1961年に設立された由緒ある団体です。会員構成は、長くスイスに住んでいらっしゃる方々をはじめ、大学や研究機関で勉強や研究をされる方々、日系企業の駐在員やスイス企業で働く日本人、芸術や音楽の道を究める方々など多岐に渡ります。

 

日本とスイスは極めて友好的かつ良好な関係を歴史的に築いてきております。2014年は、日本スイス国交樹立150周年を盛大にお祝いしました。その際今上陛下(当時は皇太子)が名誉総裁としてスイスを訪問されました。

 

私達が海外在住を体験して先ず感じることは、自らのアイデンティティー即ち「自分が日本人である」という事実です。というのは、現地の方々は自然に日本に関する様々な質問を私達に投げかけてこられます。とりわけ親日家の方々、また企業経営者や幹部、学者の方々の質問は内容が深いものが多く、大いに考えさせられます。それにより自分が、日本の文化、伝統、歴史、宗教をどれだけ深く理解しているかが問われてくるのです。私が実際に受けた質問の中には次のようなものがあります。
「日本は神道の国だが其処へ仏教がやってきた時になぜ戦いが起きなかったのが?」とか、「明治維新の際に流血の惨事にならなかったのはどうしてか?」「日本人はワークライフバランスについてどう思うか?なぜ日本では過労死が起こるのか?日本人の勤労観について教えてくれ」などです。どれも簡単に答えることの出来る質問ではありません。私もそのつど勉強して、後日お答えいたしました。

 

ドイツの哲学者ゲーテは、「最も民族的なものこそ,最も国際的である」と語ったといわれています。自分が日本人であることを自覚・認識し,自国の伝統・文化・歴史・宗教を正しく理解することを通して、他国・他民族を理解する心が芽生えてくるのだと思うのです。それが真の国際人になるということだと私は思っています。

 

長く欧州で生活することを通して私が気付いた点は、日本人が歴史的に培ってきた精神性の素晴らしさです。例えば「世の為、人の為」に生きるといった教えは日本人には極めて馴染み深い内容です。「お天道様は見ている」と言う言葉も昔両親から聞いて育った方も多いのではないでしょうか?「困った時はお互い様」も私達は素直に受け入れることの出来る内容でしょう。それらの言葉の中に、日本人が歴史的に培い育んできた精神性が現れています。

 

遠く故郷を離れ、欧州の真ん中に位置する此処スイスの地で、何かのご縁で出会った私達が、「困ったときはお互い様」の精神で協力し合い、助け合ってゆく事が出来るような、人間関係を形成してゆければ素晴らしいと思います。そして同時に、それを周りのスイス社会にも広げてゆくことにより、一隅を照らすともし火が少しずつ広がってゆき、明るく楽しい地域社会を築いてゆくことが出来ると思います。私達一人ひとりが両国の友好と文化交流の架け橋となっていければと願っております。

 

皆様のご多幸をお祈りいたします。

 


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