先ず初めに、仏陀の生涯および今回の展示に付随する 情報をわかりやすく、興味深く、ご説明下さった企画の 方々、ありがとうございました。
一番最初の展示物は、はるばるパキスタンから大変な 苦労の上搬送された巨大な仏陀の立像です。眉目秀麗で 穏やかなお顔に、慈悲深いまなざし、有難い気持ちにな らざるをえません。お釈迦様の生涯の始まりである、王 妃マーヤー夫人から誕生する王子の黄金の降誕像。樹木 に手を伸ばした王妃の右脇からひょこりと小さな人 が・・・、それが後のお釈迦様でした。樹木の葉にも、 意味を持った様々な装飾が施されています。それから、 プラハの美術館所有の絵巻物で人生を辿っていきまし た。私は、お寺経営の幼稚園に通ったため、花祭りや涅 槃会など仏教の行事を園児として体験していました。そ の一つに、修行で疲労されたお釈迦様が牛乳を飲まれて 元気を取り戻されたと、牛乳を飲む行事がありました。お釈迦様を元気にした牛乳 を飲んでご利益に肖ろう、くらいの意味に理解していました。しかし今回の解説で、この出来事を通じて、苦行で悟りを開けるのかと い う 葛 藤 の 末 、 お 釈 迦 様 が「 中 道 」と い う 重 要 な 考 え方に至った画期的な気付きの場面だったのだと 大人の解釈になりました。涅槃図は、盛り込まれ たたくさんの意味を知った上で見ると深く鑑賞で きるのだと感心しました。例えば、沙羅双樹の木 が4本は枯れて、4本は花と葉が茂って描かれてい るのは儚さを象徴しているそうです。木に吊り下げ られた衣鉢袋は、教えを説く旅の途中であったこ とを受けて諸行無常を表しているそうです。
煩悩・悟り・涅槃 こんな言葉あるいは精神を 来場していたスイスの方達は、どんなふうに受け止 められるのでしょうね。(BT)